2021年11月23日

10年ぶりにヴィーガンの話

  10年前の今頃、私はヴィーガン食生活を実践していた。ヨガインストラクター資格の取得期間中はヴィーガニズムを実践してみる、という指導に則ったもので、私のヴィーガン食生活は数か月間だった。実践中も「カツオ出汁や煮干し出汁が使えない料理は、オイルが多くなるし、味付けが濃くなるから好きじゃないよ~」と思っていて、シャロン先生の著書で「自分を思いやることは地球環境を思いやることと繋がっている」と理解はしても、その後はほぼヴィーガニズムから距離をおいて過ごしてきた。

 ヴィーガンは(どんな理由で実践するにしても)個人の選択であって、例え健康を害する結果になっても個人の責任だ、というのが10年前にヴィーガン食生活を実践した際に、私が認識した周囲からの評価だった。ヴィーガンに興味のない人にヴィーガンの話をしても困惑されて迷惑がられるだけだという体験から、食の選択(食の嗜好?)はプライベートな話だから安易にコメントしない方が無難だと思ってきた。それが、近年そうではなくなったことを知った。

 朝日新聞で月1回発行される日曜版GROBEで「ヴィーガン」が特集された。私が距離をおいてきた10年の間に、ヴィーガンに対する理解や認知度が様変わりしていていた。栄養士は「健康に問題がない」と述べ、研究者は「地球のために必要な取り組み」と評価し、病院や学校では全員にヴィーガン食が提供され、大学生はヴィーガン食生活を実践する俳優をオシャレと認識している。トップアスリートがヴィーガン食で競技成績を残していることが話題になり、ヴィーガン食≒不健康というイメージが消えつつあるのかもしれない。病院や学校でヴィーガン食が提供されるということは、食が個人の選択でなくなったことを意味する。Z世代と呼ばれる人たちは、ヴィーガン食生活の実践を周りの人に呼びかけている。

 「今日はカレー、イタリアン、それともマクドナルド?」と同じような感覚で「今日はヴィーガンにしよう!」という会話をする日が、すぐに来るのかもしれない。10年前の私の言い訳は、もはや存在しなくなっていた。あとは、ヴィーガン食生活を実践するか、しないかだけ…。